「自己実現の欲求」は人間の最終段階の欲求と言われる。
これは神の世界にも通じる心境とも言える。
孔子の言うところの、「70にして心の欲するところに従い、矩(のり)をこえず」の世界。
すなわち、他人と自分との間に境がなく、心の命ずるままに行動して、気がついてみたら、世のため人のための行いになっているといった心境。
マズロー博士の説によると5段階の欲求は、前の欲求がある程度満たされてくると次の欲求が生じるという。
また、レベルの高い欲求が満たされると脳内モルヒネの快感も増していくのだ。
不思議なことに、そのレベルが高くなれば、めったに病気にもならず、至福の感情を持ったまま長寿が保てる。
言い換えると、正しく立派な生き方、世のため人のためになる生き方をするほど、人間は若々しく健康で病気に無縁でいられるということなのだ。
このことを物質で説明すると次のようになる。
人間にはホメオスターシスというメカニズムがある。
一般に「恒常性」といわれている調整システムのことです。
例えば、寒いと毛穴が縮んで体熱の発散を防ぎ、暑ければ毛穴が開き発汗して体温上昇を防ぐ仕組みのこと。
ホルモンも同じで、ノルアドレナリン、アドレナリンが出ると、それを抑えるセロトニンというホルモンが必ず出てくる。
これを負のフィードバックと言う。
電気炬燵のサーモスタットのように、何事もオーバーヒートしないようなメカニズムを人間の体は持っているのだ。
脳内モルヒネにもギャバという抑制物質が働く。
ただ一つここに不思議な例外がある。
人間の最も高級脳である前頭連合野が刺激されて脳内モルヒネ(β-エンドルフィン)が分泌されるときに限って、この負のフィードバックが働かないのだ。
この理由はまだ解明されていない。
β-エンドルフィンは抑制されることなく分泌して、どんどん気持ちを良くしてくれるということは、我々に「そういう世界を目指しなさい」という神のメッセージのような気がする。
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